いとこの両親が蓼科の会員制リゾートホテルの会員に数年前になったらしくお呼ばれしたのでこの週末に行くことになった。せっかく蓼科まで行くなら山でも登らないとなと八ケ岳のどこかに登ろうと思っていたのだが梅雨の最中。あいにく天気予報が芳しくなさそうだった。それでも天気が持つこともあるかも知れないと一応トレランシューズを履いて行った。
リゾートホテルは素晴らしいのだが八ケ岳界隈を泥臭く歩いている山人にとって都会のシャレた人々が集まるこう言った施設はどこかソワソワして落ち着かない。僕のような人間はテントの合間から眺め上げる横岳の峰々でも見ながら半身シュラフに入り孤独にウィスキーでも飲んでいる方が似合っているのだ。
ただ明らかに高原リゾートは八ケ岳のひとつの顔であり、ああそういうのも八ヶ岳なんだなと何となく感じた。
土曜日の朝になると曇ってはいるものの雨の確率は低く「てんきとくらす」サイトでも八ヶ岳界隈はどこもAランクだったのでリゾートホテルから一番近い登山口がある蓼科山に登ることにした。調べてみると前回蓼科山に登ったのはもう2012年のことのようだった。その年は南アルプスを6泊7日かけて初めて縦走してどんどんと山にはまっていく頃だった。
まだ登ったことのない女神茶屋から登る。登山口では決していい天気ではなかったけど登ると雲層を抜け、2200mあたりから広がる雲海に頭を突き出した八ヶ岳、南・中央・北アルプス、御嶽、乗鞍の峰々が鮮明に見え始めた。敢えて好き好んで天気予報がよくなさそうな時に山に来ることはないのだが、こういう景色はまた快晴の日には見ることができない風景だ。
高層雲のくもりだが雨もなく寒くも暑くもない快適な山頂で2時間ほど過ごす。登りやすい山が利用なのか若い登山者がとても多かった。最近は山ブームも去ったとも言われ確かにあまり若い人を見ることが少なくなったなと思っていたのだが、思えば10年も山登りをやっていれば、それなりのレベルの山に行くことが多くなり、必然的にそこにいる人たちはそれなりの経験を経た、言ってみれば年齢を重ねた登山者が多くなるのは当然のことだなと思った。そう僕の登山レベルもそれなりにちゃんと向上しているということだろう。
男女できゃっきゃっ言いながら山頂の標識で映えるポーズを何度も撮りながら楽しそうにしているグループを見ていると若いっていいなとつくづく感じる。あと25年さかのぼってあるグループに入りたいッ!と思ったけど、もしそうなったとしても結局ちょっとアウトローに構えて「何だあいつらうるせーな」と強がりを言っている自分自身が見えるようだった。
同じコースを戻るのは詰まらないので帰りは蓼科山荘まで下りて、そこから歩いたことのない天祥寺原に下ることにした。この道は雨が降ると沢になりそれなりに水が流れるのだろう。石ころが転がる深く掘れた道は濡れているのもあってとても歩きにくい。蓼科山荘で天祥寺原方面に下山を開始した時にふと目が合った小屋の主人が「気をつけて!」と声を掛けたのはこのことだろう。
さらに下ると土砂崩れで崩落した場所に登山道が突きあたり、そこが登山道になってちょっとルートが分かりにくいところもある。それでもポイントポイントにはロープでそれより先に進まないように目印をしているので迷うことがないと思うが、危険性を考えれば雨の日は歩かない方が賢明だろうと思う。
そんな悪い道を下り平坦な天祥寺原に出るとその歩き易さに安心する。ただちょっとした湿地帯でもあるので気を抜くとぬかるみに埋まってしまうので気をつけて歩く。そこからビーナスラインとの合流点、ゴールの竜源橋までは気持ちよく歩ける程よいトレッキングコースのような登山道が続く。その途中に苔がとてもきれいな場所があり写真をたくさん撮った。
結局、蓼科山荘から竜源橋まで出会った登山者はたったの3人だけだった。山頂の賑わいを思えばここはあまり多く歩かれるコースではないのだろう。リゾート半分のちょっとした山登りだったけど登りも下りもまだ歩いてないコースを多く歩くことができ、八ケ岳の地図に久しぶりに多くの赤線を引くことができる。