それにしても長い長い今年の梅雨だった。昨年と1ヶ月違えば夏山に行ける時間もずいぶんと短くなってしまう。
今年もどのあたりで5泊くらいの縦走に行こうかと考えていたのだけど、8月最初のなかなか天気も良かった時期はちょっと外せない所要で行けず、何となくお盆辺りからにしようと思っていたら立て続けに発生した台風9号、10号の影響で不安定な天候が続き、また昨年と同じように行かずじまいで夏山が終わってしまうのだろう…と何となく思い始めていた。
そう。そして、今年は僕が今住んでいるところが海のすぐ近くということもあって、ここに住み始めて既に10年経つのだが中々始める機会がなかったサーフィンをとあるきっかけで始めて、その楽しさとすぐ近くで遊べるという手軽さでのめり込み、山に行けないなら行けないで毎日サーフィンをしていればいいかなと何となく思う心もあった。
お盆が終わり10日間天気予報を眺めていても相変わらずどこもここもぐずついた予報がばかりであまり期待できなかったのだが、週の中ほどになると週末から翌週あたまにかけて4日間ほど晴れが続きそうな予報に変わった。もちろん、この期間では長期縦走という訳には行かないのだけど、このまま一度もアルプスさえ行かずにやり過ごしてしまうのもどうかなという思いもありどこかに行ってみようと思った。
じゃどこにするか?7月に歩いた八ケ岳が何だかえらくきつかったので20kgのザックを背負って山を登るのにちょっと不安もあり、だったらもうひとつの趣味である釣りも兼ねてイワナを釣りに両俣小屋に行ってみることにした。
両俣小屋は昨年2度行き散々飲んで釣り談議をしてあまりに楽しく過ごしたところだ。そして何となく顔を覚えてもらったかな?というのもあり年に一度は行っておきたいなというのもあった。
小屋について挨拶をするなりにここの小屋番であり僕なんかとはレベルが違う釣りキチの牧野さんに「あーまだ山やってたんですね」と声を掛けられた。苦笑。どうやら僕が最近のめり込んでよくFACEBOOKにアップしているサーフィンのことを皮肉交じりに掛けられた言葉のようだった。それでも覚えてもらえたことがとても嬉しかった。
日曜日の両俣小屋は宿泊客も少なくとても静かだった。北アルプスはいつ行っても登山者が多く華やかで洗練された大きな小屋が多いが、僕はやっぱり南アルプスの小屋の雰囲気の方がどこも個性的で好きだ。北アルプスの小屋が居酒屋チェーンなら、南アルプスの小屋は個人オーナーが出している飲み屋という感じだろうか。と言って昔ながら過ぎるという訳でもなくきらりとした個性を感じる。多分にもれずここ両俣小屋の女性のご主人の星さんもとても個性的な方だ。その雰囲気が小屋によく出ているように思う。
受付を済ませてテントを張ると今回は通ってきた登山林道を40分程戻った荒倉沢のちょっと下流にある野呂川本流から入渓して釣った。ここから釣り上がるのは初めてだったのだけど、小屋より上流の左俣沢、右俣沢とは異なり割り合いフラットな流れが続くフライフィッシング向けの渓相だった。基本的に狭い沢の小さいポイントに毛鉤を打ち込むような釣り方が好きだが、思いっきりフライラインを出して遠くのポイントを狙うのもまたこれはこれで楽しいなと思った。
イワナのサイズは結局27cmどまりだったけど数も出てそれなりに満足して夜はまたマニアックを極めた釣り談議に花が咲いた。それにしても小屋番の牧野さんはとても手が及ばないほど釣りの兵だ。あまりに学ぶことが多すぎて(笑)
翌朝、昨日、満足したはずだったのだけど朝6時から竿を出した。朝早くは水温が低すぎて釣れないのだけどやっぱりイワナの川を前にして我慢するのは難しい。反応は良くなかったけど3時間で6尾キャッチして10時に川をあがった。結局、サイズも昨日と同じ27cmどまりだった。
いずれは尺上(30cm以上)を。焦る必要はないまた来年も絶対に来よう!後ろ髪を引かれながら両俣小屋を後にした。