2019年5月07日(火)06:17

オーレン小屋で初めてのテント泊。またずいぶん山にいってなかった...

昨年8月に南アルプス両俣小屋に釣り歩きに行って以来、久しぶりの丹沢以外の登山とテント泊。天気が良ければ燕岳から蝶ヶ岳まで縦走しようかなと思ってたんだけど、あいにく何だか安定しないGW気象状況。1~2日は良くても3~4日続くことはなく、それでも久しぶりに山に行きたかったのでまあ1泊でもいいやと八ヶ岳へ。

久しぶりにテント装備を背負っての歩きに本当は登りが少ない麦草峠から登ろうと思っていたのだけど、特急が茅野に到着する10分くらい前に念のためとバスを再度調べたら運行が7月13日からになっているじゃないか!

どうする?と急遽、登り口を渋の湯に変更、そこから八ヶ岳でまだテン泊したことのないオーレン小屋を目指すことにした。

そう言えば、横浜線で八王子にアクセスして5分の乗り換えで特急あずさに飛び乗ってびっくりした。あずさに自由席がなくなって全席指定席になっているじゃないか!車掌が切符の改札来てあれこれ聞くとこの3月からそうなったということだった。そして自由席特急券に代わって座席未指定券なるものが出来て、それを持っていると全車両の空いている席(もちろんグリーン車以外)はどこでも座っていいということのようだ。もちろん本当の指定席券を持っている人がそこに来たら席を譲らなければならず、その席の予約状況が分かるように座席上に赤・黄・緑のランプが点灯することになっている。今は中央線の特急に限ってそうなったということだった。

ただ厄介なのはこの座席未指定券を車内で買うと駅の販売機より260円高いということだ。ポンと特急に飛び乗るとエキストラマネーをチャージされてしまう。うーん。あまり前もって計画を立てずに旅をする人間としては扱いにくい切符だ。自由席の方がありがたかった。しかもこの切符、乗車する電車が決まったら座席未指定から座席指定にプラス料金なしで変更できる。

ここ3週連続の丹沢大倉尾根トレーニング(個人的に「丹トレ」と呼んでいる笑)の効果か19キロの荷を背負ってる割りには快調に黒百合ヒュッテまで到着したが、そこで12本アイゼンを付けた途端、足の重さで一気に萎えてしまった。

中山峠からの夏道で行くとアイスになり岩になり、アイゼンを付けて外してまた付けてを繰り返し厄介だった。

山頂に到着すると誰一人いない晴天の東天狗岳だった。ジャケットを着てなくても大丈夫なくら暖かい。静かな山頂の辺りをもの凄いスピードで飛び回っているツバメの風を切る音だけがビューン、ビューンと時々響いていた。

16時半過ぎにオーレン小屋に到着する。わりと緩い感じで番号札もなく沢向こうのテン場のどこにでもテントを張ってくださいとのこと。張られているテントはだだっ広いテン場に2張りだけだった。とは言え今日は気温が上がって踏み抜き地獄のテン場でテントを張るのに適した場所はほとんどなく、何だかソロで来ていると思われるキレイなお姉さんがテントを張っているところから10メートルくらい離れた昨日のテント泊跡の安定した場所に張ることにした。こんなだだっ広いテント場でこの距離の近さはちょっと嫌かな?警戒されちゃうかな?と思いつつ他に場所がないので、自分なりの精いっぱいの笑顔でそのキレイなお姉さんに一声かけて張らしてもらうことにした。

僕:「ここにテント張っても構いませんか?」
キレイなお姉さん:「どうぞ大丈夫ですよ。」

とにこっとされると、40過ぎのおじさんはちょっとドキドキ嬉しくなってしまう(笑)もちろん、この話はこれ以上何もないのだが、晩ご飯の時間をオーレン小屋前のベンチで一緒にしたが神奈川県川崎市から来ている方だった。結局ソロ登山はこういう一期一会が楽しいのだ。

持ってき600mlウィスキーをテント内でちびりちびりと一人で飲み干した。いつも誰かと出会った人と会話を楽しむための道具なのだが、まだまだ寒い季節だとそうそう長い時間、外で飲んでいる訳にはいかない。10時過ぎ満点の星を眺めてから気持ちよーく朝までぐっすり眠った。

のんびりと朝7時過ぎに動き出す。隣のキレイなお姉さんは朝早く天狗岳に向かったようだった。一声かけておけば良かったかなとちょっと名残惜しい不埒な気持ちで硫黄岳を目指す。

結露で重くなったテントとシュラフがぎっしりと重い。受付で聞くと今日は午後から天気が荒れるという予報だったが登れば登るに連れてどんどんガスが広がり硫黄岳の山頂についた頃には辺りは真っ白になってしまった。しばらく粘ったが横・赤・阿弥陀の雄姿は拝むことはできそうな気配がなかったのでもう下りることにした。

一目散に赤岳鉱泉で下りビールを買って飲む。赤岳から降りてきたという79歳と73歳の登山者(クライマー風情?)としばし話し込む。とてもそんな年齢とは思えない方々だった。

「僕もね38で山を始めて、君くらいの時は同じように大きな荷物背負ってあちこち歩き回ったよ。だけど55過ぎたら小屋泊なってしまったなぁ。50前半までは1歳ずつ歳を取るけど、そこから先は1年に2歳ずつ歳を取る感じだね。」と含蓄のある言葉をいただいた。なら今のうちに大荷物持って歩いておかないと!40歳後半まだまだできる。いや最後のあがきをしておかないと!

確かに山を始めた10年前はもっと早くとがつがつ山を歩いていた。でも今は酒飲んで、写真撮って、知らない人と話して、テント場でのんびりして、酒飲んで(おっと2度目か)...ピークを極めるとかじゃなく山旅が楽しくて山に行っている。僕の山行もこの10年でずいぶん変わったなと思う。

久しぶりのお山で楽しい時間をすることができた。やっぱり山はソロで行くのが楽しい。改めてそう感じた。

ルートマップ

ルートデータ

入山日
2019/05/05
下山日
2019/05/06
距離
17.1km
最高点
2,760m

トレッキングレポート

渋の湯からスタート。GW最後とは言えそれなりに混んでいるだろう思っていたら渋の湯行きのバスに乗り込んだのはたった3人でびっくりした。登山届提出所には山岳警備隊がいて登山用の笛を登山者全員に配っていた。
岩が出ていたりアイスになったり...これが一番、面倒くさい。
黒百合ヒュッテ到着。ここまで1時間45分。もうかつてのようにコースタイムより早く歩こうみたいな気持ちはないんだけど。ここ3週連続で丹沢のバカ尾根をトレーニングで登っている(丹トレと個人的には呼んでいる)からかなかなか快調なペース。
この冬は一度も冬山に行かなかったので使わなかった。久々の12本爪。これを装着すると自分の中でやってる感が上がる。
12本爪を付けてよしっとここから稜線までずっとアイスと思い込んでいたら...夏道コースはアイゼンを脱いだり履いたり...その度にザックを下ろしたり背負ったりと面倒。
雪山はきついけど直登できるので以外にコースタイムより早く歩けることが多い。特にトレースがある場合は夏道より圧倒的に歩き易い場合が多い。
稜線に出てから岩場だったのでここまでアイゼンを外していたのだが、ところどころアイスがありこの部分の正規ルートの登山道はアイスだったのでアイゼンを再び履くのも面倒だったので岩場をトラバースした。
写真の左下にはこの雪解けの今しか現れないスリバチ池と中央真上に周囲を白く囲まれた白駒池。
いつ見ても、ただ、あーかっこいい。
いつも言っているが、この東天狗岳と根石岳の鞍部からの東西天狗岳の眺めが八ヶ岳では一番好き。アルプスっぽいんだよなぁ。
何だかすぐ真横でグゥアーグゥアーって大声で鳴くから見るとホシガラスが警戒心なく松の実をついばんでる。
このカラス特有のちょっと生意気っぽい面構えがカワイイんだよな。キョエちゃんっぽい。
根石小屋のある稜線。昨年冬に新館に泊まったがとてもきれいな小屋だった。その時はちょっと混み合っていたけど、空いている時があったらゆっくり泊まりたいな。
硫黄岳爆裂火口の絶壁。針葉樹の向こうにちょっとカナダのような雰囲気で撮ってみた。
木はやっぱり生きているから回りは温かいのだろう。
オーレン小屋のテント場。広いけど気温が上がったこの日は踏み抜きが多くて張るのに適した場所は限られていた。雪上キャンプは道具が汚れず快適。
オーレン小屋の水場。テント泊でも小屋内の飲料水が利用可能なのだがいちいち靴を脱いで小屋内に入らないと行け小ないので、天然の外の水場を利用した。受付では、一応、沸騰させてから飲んだ方がいいと思います...と言われたけどそのまま飲んでも僕には全然平気だった。
夜のテント内を露出して撮ってみた。三脚持っていてないしウィスキー飲んでて手が揺れるし(笑)なかなか難しい撮影だった。
今日は午後から天気が荒れるという予報。確かに風もありちょっと怪しい空模様だが、まだまだ晴れている。
硫黄岳の半分くらいまで登って来るとだんだん雲が...
そして山頂に着いた頃には何も見えなくなった...あと30分早かったらちょっとは見えていたのに。
晴れる気配もなかったので赤岩ノ頭まで下ってきた。ここでアイゼンを履きながら15分程待ってみたが横岳・赤岳・阿弥陀岳の大パノラマが姿を現すことはなかった。残念。
赤岳鉱泉のアイスウォール。今シーズンの役割はすでに終わった。お疲れさまでした。
昨年は相当に大水が出たんだろう。かなりコースが変わってて沢をトレバース橋が多くなっていた。
久しぶりに鹿を見た。ちょっと前までは丹沢でホントには良くみたけどきちんと猟がされるようになってめっきり鹿たちが人前に出てくることがなくなった。
相変わらず長い林道歩きでした。美濃戸口到着。帰りのバスもたった4人。八ヶ岳山荘の風呂も独り占めで快適だった。

データ

  • 入山日: 2019年5月05日(日)
  • 下山日: 2019年5月06日(月)
  • 登山エリア: 八ヶ岳周辺
  • 登山ジャンル: 縦走登山
  • 登山スタイル: テント泊
  • メンバー: ソロ
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