ここ数年、毎年のように厳冬期に登ることを目標と言ってきた赤岳に登ってきた。
まず初めに驚いたのが、およそ1年ぶりの美濃戸口だったのだが、八ヶ岳山荘の道路を挟んだ向かいに「J&N」なるシャレたカフェができていたことだ。当日は貸し切りで何やらパーティをやっていたようなのだが、カフェだけではなく宿泊、風呂まであるようだ。そして、この「J&N」に影響されたのか八ヶ岳山荘の仮眠室が二段ベットになっていたことだ。部屋を使用できる人数は前より少なくなったとは思うが、圧倒的に快眠できるようになった。これで料金は相変わらず2000円で24時間使い放題なのだから登山の前泊としては助かる。
さて本題。
天気も晴れの予報だったので、人出も多く、単独だったのだが文三郎尾根のピストンを無事に登って降りてくることができたので良かった。冬山を始めたのが2012年。それから5シーズン。北横岳から始まり、天狗岳、硫黄岳、西岳、編笠山と初級から中級レベルの厳冬期の八ヶ岳にはステップアップして登ってきたのだが、文三郎尾根とはいえやはり赤岳は数レベル上のように感じた。頂上直下の雪に岩稜が混じる急斜では下山時、緊張が続き、アイゼンの使い方、ピッケルの操作など、まだまだ技術不足だなと思った。これくらいのレベルの雪山に一緒に行ける山友がいないので、ひとりで行き、確かに登山者の多い週末の八ヶ岳ならこれからもひとりで行けるだろうなとは思えたのだが、もう一段レベルを上げるためにはやはり信頼のおける雪山のパートナーがほしいと感じた。
また厳冬期の森林限界を大きく超えるエリアでは装備に関しても色々考えさせられた。
暑さを感じるのが嫌なので、今回もいつも通りベースレイヤーの上にカットソー、その上にアルパインジャケットを着て赤岳鉱泉を出たのだが、風が吹き荒れた稜線の日陰では背中からゾクゾクと寒さを感じた。強風が吹き荒れる状態では、とても途中でザックを降ろして服を着増すなんてことはできない。ただ寒いからはじめから服を着込んで動きが鈍くなるようなモコモコ感も避けたい。いわゆるミドルレイヤーと言われるところの何かいいウェアが必要と感じた。
以下、他にいくつか思ったこと。
ビーニーから少し出た耳たぶが冷える。それを補うために深めに被ると、今度はまぶたのすぐ上までビーニーの前側が落ちてきて煩わしく感じる。次にアウターのフードを被ってみる。傾斜がゆるい場所や下りではいいのだが、傾斜がきつくなると上方が見えにくくなる。同じように左右も見にくい。さらにフード内で吐いた息でサングラスが曇ってしまう。ゴーグルを使うべきなのだろうが個人的には接触部分が多いと痒さを感じてしまうのでできれば避けたいとも思う。
また、写真を撮ることも山のひとつの目的なのだが、サングラス越しだとカメラの液晶モニターがどうしてもよく見えない。この点でもゴーグルよりサングラスの方がすぐに外すことができるので便利のようにも感じるのだが、何かまぶしさを抑えながらもモニターがちゃんと見える素材でもあるのだろうか?
カメラ(ミラーレス)では、なるべく行動の妨げにならないように、また、すぐに取り出せるように持って歩きたい。また厚手の手袋をつけたまま色々な撮影操作ができる方法はないものだろうか?
あれやこれや色々課題がたくさん見つかった今回の厳冬期の赤岳だったが、念願の登頂ができてとても満足した。
そう。今回の厳冬期の赤岳で女性の多さにびっくりした。文三郎尾根であった3割くらいは女性だったのではないだろうかと感じた。しかも若い女性が多かった。山ガールは、そう呼ばれる域を脱してずいぶんと先にいっているようだった。
そういう女性、とてもカッコよくて素敵です!