久々に丹沢に行ってきた。塔ノ岳を登るのは半年振りくらいだろうか。
本当は、朝の5時半に友だちと待ち合わせて、瑞牆山まで遠征に行く予定だったのだが待てど暮らせど来ず。連絡すらない...
しびれを切らして6時過ぎにメールをすると、今から出るとのこと。低山の紅葉シーズン真っ盛りに、観光客さえ動き出す時間に出発なんて渋滞するだろ、登山口に着くの何時になるんだ?そんな時間になって駐車場に車を停められるか?
モチベーションの違いに、正直、相当むっとしたが、笑って「今日はもうやめよう」ということにした。
さあどうしよう。もうこの時間から行けるのは丹沢しかないだろう。しかし勝手知った道ばかり歩くだけだと、このムカムカはとても収まらない。
僕の丹沢地図の踏破ルートにまだ赤線が入ってないルートを見ると主稜、主脈と丹沢三峰が見えてきた。
主稜は11月に歩く予定だから、主脈か丹沢三峰かなと考えたが、今出発して、最終バスの時刻を考えると丹沢三峰しかなかった。
秋のシーズンということで渋沢駅のバス停は長蛇の列だった。バスを一本やり過ごしやっと次のバスに乗ることができた。
久々の大倉登山口。登山開始。
別に過去の自分と競争するつもりはないのだけど、どうしても塔ノ岳まではタイムを意識してしまう。今朝の怒りを鎮めるためか、今日はとにかく行けるとこまで突っ込んで行ってみようと思った。
一年間色々な山を歩いてきたせいか、今までバテが回って来ていた天神尾根分岐手前の長い階段も割と楽に超えることができたが、それでも花立山荘手前の階段ではさすがに足がとまり次第にペースが落ちた。
塔ノ岳到着。2時間4分。
自己満足に過ぎないのだがベストを1分更新することができた。さらに今日は天気もこの上ない快晴。もう今朝の嫌な気分は既にどうでもいいものになっていた。
少し休憩をして、丹沢山へ向かう。
塔ノ岳~丹沢山間は上り下りが少なくハイキング感覚で気持ちよく歩ける尾根だ。
東に開けたところでは相模原の街々から新宿の高層ビル群まで見渡せ、また、西に開けたところでは山塊の向こうに富士山が構え、眼下には鍋割山稜と主稜に囲まれた谷の間に白いユーシンの沢が見える。
2年程前から通行止めになっていたユーシンの隧道が一月程前から歩行者に限って通行できるようになったらしい。いつも上から眺め下ろしている沢から、今度は上を眺め上げてみたい。また新たに歩きたいルートが見つかった。
都会のすぐそこにある丹沢、とても山深いのだけど、数々のルートが縦横に伸びていてハイキングから本格的な山歩きまで楽しむことができる。この冬は丹沢の個人的未踏ルートを歩いて地図に赤線をたくさん描き入れようと思っている。
丹沢山で昼ご飯を食べ、持参した紙パックワインを飲み干したので「みやま山荘」に入ってビールを買った。
みやま山荘はとてもきれいで、もし丹沢でどこか泊まるならここだな思っていたので受付に居たオヤジにちょっと聞いてみた。
「年末年始、泊まりたいなと考えているんですが混むんですかね?」
「そうだね。天気次第だね。最近の登山者は麓が雨だったらまず来ない。昔は、雨が降ろうが来ると言ったら必ず来てたんだがね。まあでも、麓が雨の場合、ここは必ず雪が降ってるし、来たら来たで楽しかったということになると思うよ。」
商売っ気の感じられない、親しみやすい率直な話し方に、来たら本当に楽しいんだろうなと思った。
今日は、ここから大倉に戻らず、丹沢三峰を通って宮ヶ瀬に降りる。初めてのルートでワクワクする。三峰というだけあって何度かピークを登り降りするのだが、登り返しながらも、次第に高度を下げていくので、それ程きつく感じることはなかった。それよりも丹沢山から宮ヶ瀬まで11kmという距離が本当に長かった。
丹沢三峰は、表丹沢側に比べて、紅葉がだいぶ進んでいた。
ほとんど人とすれ違うことのない道を一人で歩く。この紅葉をまさに独り占めだ。本当にただ感嘆しただけなのか、はたまた、誰かとこの気持ちを共有したいと心で思っているのか「きれいだなあ」と独り言が漏れる。
広葉樹の森が杉林になり、山行が終わりに近づいていることを感じる。ずいぶん、日が短くなった。森の中は午後3時過ぎでもう薄暗くなる。
15時30分。宮ヶ瀬の下山口に到着。
15分かけてバスの始発がある宮ヶ瀬バス停まで歩く。宮ヶ瀬バス停は道の駅のようになっていてとても賑わっていた。今回はバスの時間がすぐだったので行けなかったが、温泉ではないが浴場もあるようだ。
厚木駅まで50分。バスに乗り込み歩いたルートを地図でじっと眺めて今日の山行を振り返った。
さあ次はどこを歩こう。