上京するまでの18年間毎日眺めながら暮らしていた我が故郷の名峰 祖母山(百名山)に登っってきました。
登山口にある麓へは帰省のたびにフライフィッシングで毎年、何度かは必ず訪れるところだが、いつも見上げるだけで登るのは初めて。
2011年5月25日曇り。
昨日の天気予報では雨だったが今日は何とか天気が持ちそう。明日からは台風の影響でまた雨が続くよう。
家から見える祖母山の山頂は雲に覆われている。山の方は雨かもしれないし展望は期待できそうにないがとにかく行ってみる。
登山口に到着。山頂は相変わらず雲に覆われているが雨は降っておらず登山には問題なさそうだったので準備をして出発。
登りは黒金尾根コースで山頂へ向かう。いつもフライフィッシングをしている川の脇をずっと歩いて行く。曇天で山登りには良い天気ではないが、釣りには最高のコンディション。
「今、竿を振ったらバシバシ釣れるだろうなぁ...」
何度か川を渡渉した後、一気に尾根を登って行く。「少しハードな黒金尾根コース」と登山道の分岐点に書いていた通りなかなかの傾斜。ここ数日の雨で登山道がぬかるんでおり滑って一層登りにくい。
登山道自体はちょっと不明瞭。木に吊り下げられた赤テープがそれなりにあるので注意していれば迷うことはないと思うが、道だけを見て歩いていると時々登山道が分からなくなった。
高度が上がると背丈の高い笹が狭い登山道に覆いかぶさりとても鬱陶しい。しかも、その笹は雨で濡れているので、そこを歩くと服が段々びしょ濡れになってきた。
この笹が覆いかぶさる状況は稜線に上がり、展望が開ける一部を覗いて山頂直下までずっと続いた。
稜線に出て、何箇所か「展望台」という標識があった。本来なら相当に展望が良いはずだと思うが、すでに、その高度は霧に覆われていて何も見えないので寄らずに山頂を目指す。
標高1700mの標識を過ぎた山頂直下から岩場に差し掛かる。ハシゴとロープがあり残りの56mを一気に登るという感じ。岩場下はけっこう切れ落ちている感じなので慎重に歩みを進めるが、岩が濡れて滑るので緊張した。
そして、山頂に上り詰める最後の最後にも岩場があり、這い上がる箇所はいくつかあるのだが、こちらも岩が滑るので慎重に登った。
10時30分。山頂到着。山頂には誰も居なかった。ビールを飲み、おにぎりを食べていると単独登山者が到着。挨拶をしてお話をすると鎌倉在住の方だった。
先週、鳳凰三山を縦走している時にお話した方がいて聞いてみると大分出身の方で、今回は地元の山で今現在住んでいる隣の市の方とお会いするとは。その後、長野の方、大阪の方が次々に登ってこられた。
11時過ぎ宮原(みやのはる)コースで下山開始。黒金尾根コースの山頂直下とは違って岩場もなく穏やかに下っていくが九合目小屋までは登山道のぬかるみが酷く、一度滑ってアウターの袖口が泥まみれになってしまった。
九合目小屋は写真では見てはいたが、新しく綺麗でしっかりとした小屋だった。管理人は常駐していない。覗き込むとコタツも毛布も準備されている。値段も2000円と安く、次に登る時は是非利用してみたい。
宮原の分岐途中に馬の背と呼ばれる細尾根がある。霧で高さを確認はできなかったが片側が100m以上程は切れ落ちている感じ。晴れていたら相当に絶景だろうと思う。今日は全く景色を期待できないので残念。
印象として「一般向け」と書かれていた宮原コースは黒金コースに比べてやはり歩きやすく、よく歩かれてるからだろうが不明瞭な箇所がほとんどなかった。森の感じもよく、「次登るならこちらを往復しよう」と思った。ただ今回の登山は展望も眺望もなかったのでそういう印象になったのかも知れない。
気持のいい森歩きで降っていくと朝に通った黒金尾根コースと宮原コースの分岐にある吊橋に着いた。吊橋の上から渓流の淵を覗き込むとエノハ(アマゴ)がひっきりなしにライズしていた。
今すぐに車に戻って釣りの準備をしてフライを投げ込みたかったが、「釣りを始めると18時過ぎまでやってしまうだろうから実家に連絡をしておかないと捜索願をだされたら困る」と、近くの宿泊施設の公衆電話を借りようと伺ったが閉まっており、どうすることも出来ず素直に帰ることにした。
天気が悪く景色も見えず、釣りも出来ず...ちょっと不満も残る一日だったが、登れただけ良しとしよう。