故郷の山、くじゅう。昨年、帰省した時は雨に降られ登れなかったので2年ぶり。もう何度くじゅうには登っただろう?ただ、今までは牧ノ戸峠か長者原からしか登ったことがなかったので、今回は趣向を変えて久住町側の沢水(そうみ)登山口から南壁を登ることにした。
あまりメジャーじゃない登山口なので、さすがに3連休の最終日、駐車場はそんなに混まないだろうと7時半に登山口に到着すると、12~13台ほど止めることができる駐車場は既に車があふれかえっていたが、軽自動車で行ったので何とか駐車場の奥の狭いスペースに車をすり込ませることができた。
準備をして登り始める。駐車場からもう少し先まで進む車道の脇にあと5~6台くらいは駐車できるスペースがあった。駐車していた車の数の割に全く登っている人がいない。ほとんどの人は鍋割峠経由で坊がつるに行ったのだろう。
さて本格的に登山道に入るぞというところに看板があり「土石流多発地帯につき 通行はご遠慮ください」と書いてあった。これも、こちらのルートは登山者が少ない原因なのだろう。僕が持っているのは2011年の地図だが、最新の地図では、このルートはバリエーション扱いとかになっているのかも知れない。
一般的に登るくじゅうの登山道のイメージとは全く違って、大石がゴロゴロと続く長い急斜面を三点支持で登って行く。樹木もそれなりに生い茂っていて所どころ開けるところ以外はあまり見通しが良くない。「The くじゅう」という雰囲気を味わいたいならやはり、牧ノ戸か長者原から登った方がいいだろう。雰囲気的には、祖母山を登っているような感じだった。
峰々が連なる鞍部付近まで登ると、大石の登山道が黒土に変わり、そこにできた霜柱が解け始めていてよく滑る。ズルっと行かないように慎重に登る。
この辺りからやっとくじゅうらしい草原が見えてくる。まずは稲星山に向かう。稜線に出ると北東よりの冷たい強風が吹いていた。一面に広がる久住高原は、野焼きの煙がいたるところで上がって霞んでいた。くじゅうの春の風景だ。天気は快晴で由布岳、その先の瀬戸内海まで見えた。
峰と峰が近いくじゅうでは、テーマパークのアトラクションに乗るような感覚で、次はあっちの峰、その次はあっちの峰と登るのが楽しい。今回もまた、稲星山、久住山、天狗ヶ城、中岳、そしてまた稲星山と登った。その中で、やっぱり天狗ヶ城が一番好きだ。多くの登山者は主峰の久住山と九州本土最高峰の中岳を結んで歩くが、その途中でこの天狗ヶ城はトラーバースされることが多くいつも静かだ。そして山頂からは眼下に御池、左に中岳、右に久住山と見渡すことができる。ちょっと時間に余裕があるなら十分踏む価値のある峰だと思う。
中岳から御池に降り、その畔で少し寛いで、最後に再び、最初に登った稲星山に登る。朝とはまた違った色の景色が広がっている。風も緩んで暖かい。
霜が解けた下山道はさらにヌカるんで滑って歩きにくかった。行きには目に入らなかったマンサクの花が咲いていた。山にも春はもうそこまで来ているようだ。両親が年齢を重ねてきたので、今年から3か月に一度、帰省してちょっとした実家の手伝いをすることにした。次は6月頃か。梅雨の時期だが、うまく晴れてもらってまた満開のミヤマキリシマが見たいものだ。