2017年9月03日(日)17:52

「黒部の山賊」鬼サも釣っていただろう黒部川の最源流でイワナを釣る!vol.1

一度、ここでフライを振ってみたいと思っていた黒部源流にやっと行くことができた。「山歩きにフライロッドを持っていく」とこのブログで高々とうたっているのだが、実際は、まだまだアルプスの稜線を歩くことの方が優先で、フライロッドを持って歩くのは実は今回が初めてだった。ここ5~6年、ほぼ毎夏、アルプスで縦走を繰り返してきて、ただがむしゃらに歩くだけではない余裕が多少は出てきたということだろう。

さて、前泊したわさび平小屋から三俣山荘まで、一日かけ到達。余力があれば夕まづめと考えていたのだが、久しぶりの長時間歩行の疲労から、この日はとても黒部の谷に下る気にはならなかった。

翌、早朝、雲ノ平へ向かう道すがら黒部川の源流部へ下る。この地点は、本当に黒部川源流の源流部ということもあり、ここまでイワナがいるのか全くわからない状態だった。ネットで検索してもイワナ釣りで有名な薬師沢小屋周辺の情報はたくさん出てくるのだが、この源流部についてはほとんどと言っていいほど情報がない。

朝6時過ぎ、雲ノ平に向かう登山者を横にフライフィッシングの準備をする。イワナがいるかどうかわからないので、話しかけられるのが恥ずかしいので、なるべく人目につかないように渡渉点から40~50メートル下ったところから釣り始める。ここ最近の雨で若干水量が多いようだ。ウェーディングシューズを持ってきてるわけではないので、登山靴を濡らさないようにするのに苦労する。

エルクヘアカディス#14のフライ(毛鉤)で釣り始める。いかにもいそうなポイントは続くのだがアタリがない。まあ、たった今、自分が上流から川づたいに降りてきて、すぐに釣り上がっているのだから、イワナがいたとしても警戒されて当たり前といえば当たり前だ。

少しずつ上流に釣り上がったところで対岸にある小さな落ち込みにフライを落とすと、何かフライをつつくような小さな反応があった。まぎれもなく魚の反応だ。このことがわかると俄然やる気が違ってくる。そこからポイント、ポイントを丁寧に釣り上がる。何度か同じようなアタリがあるが掛からない。

渡渉点を越えてさらに上流にやや大きめの流れ出しの上に3~4メートルほどの開きがあり、そこにフライを落とす。フライは水流に沿ってしばらく流れ、その開きの流れ出しから1メートルほど上流にある大きめの石の左脇を過ぎようとしたとき、水面を割って何かがフライにアタックしてきた。とっさにロッドを立ててアワせると、ずっしりとした重みがロッドに伝わってきた。

黒部の源流で初めての感じる魚の手応えに緊張感がはしる。魚は、まず勢いよく上流へ突っ走ったと思ったら、次の瞬間、手前側にある下流にに向かって走り始めた。引っ張られている間はいいが、手前に向かって来られるとラインがたるんでバレてしまう(魚が外れること)。急いで手元のラインをたぐり寄せてラインのテンションを保つ。そして、そのまま少し強引に流れの脇の浅い小砂利の上に魚を引きずり上げた。

25~26センチほどの見事な天然のイワナだ!この黒部源流部のネイティブのイワナだけに野性味あふれる黒々した魚姿をイメージしていたのだが、意外にも淡い色の普通っぽいニッコウイワナだった。フックを外して写真を撮る。この黒部の源流で初めて捕らえたイワナだけに興奮で手が震えた。「やった!」

その後、その上流を20~30分かけて50メートルほど釣り上がる。何度かアタリがあったが仕留めるには至らなかった。でも今はそれでも構わない。この黒部の源流で1尾をキャッチしたことには違いはないのだからー。登山の途中でもあるので、今日の釣りはここで切り上げた。たった1尾だが、この領域でイワナがいることを確認できただけで大きな収穫だった。

この場所では、2日後、再び2時間ほど釣ることになるのだが、それも含めて、この黒部源流部の釣りについて自分の中で少しだけ法則みたいなものが見えたような気がした。それについてはまた、次回、ここで書こうと思います。

エリアマップ

フィッシングデータ

入山日
2017/8/28
時間
6:10~8:00
気温 / 水温
天気
くもり

川・沢の評価

6pt

渓相の良さ

10pt

水質の良さ

1pt

釣り人の多さ

7pt

釣りやすさ

フィッシングレポート

黒部川源流の碑

雲ノ平に向かう登山道の黒部川の渡渉点
ここから40~50メートル下った。植生を荒らさないように基本、石や岩の上を歩くようにする。
釣り始めた場所より下流。これより先はウェーディングしないと無理だった。
ここから釣り上がる。
黒部の源流で初めて仕留めた一尾
25~26センチといったところだろうか。
ここで出た。帰りに登山道から撮影
ここを釣り上がってきた。
黒部川源流脇を岩苔乗越へ向かう登山道
源流の流れは、さらにもう1キロくらい先まで続く。
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