2011年5月14日(土)09:00

初めてのアルプス登山!夜叉神峠から憧れの鳳凰三山を日帰りピストン

昨年、本格的に山登りを始めてからなぜかずっと憧れの山だった鳳凰山。 

私の登山の参考ヤマレコを見ていると、ここ数日の大雨で雪もだいぶ減って、何とか三山とも廻れそうな状態になってきいるようなので今年最初の単独遠征としてアタックすることにした。 

正直、かなりの挑戦だ。 

ヤマレコを見ていると夜叉神の森から日帰りピストンしている方は何人か見ているものの、昭文社のコースタイムでは、夜叉神の森~地蔵岳までの往路が9時間弱、そして復路が7時間の合わせて16時間の行程。 

まぁ鳳凰小屋サイトのコースタイムでは往路が1時間30分短く7時間30分だが、いずれにしても本当にやれるのか...憧れの山だが初のアルプス登山でもあり不安だった。 

ただ行程はピストン(往復)なんで一応自分の中の基準として、朝5時に出発、観音岳に到着時点で10時30分までだったら地蔵岳まで進み、そうでなければその時点で引き返すということにした。 

14日午前1時に藤沢を出発、順調に車を走らせ4時45分に夜叉神の森駐車場に到着。 

いくつかの日記では芦安温泉から先は道が狭く車1台がやっとと書いてあり心配したが、道は思いの他広く全線でどこで対向車がきても大丈夫だと思った。 

準備を済ませ、朝食のサンドイッチを口いっぱいに押し込んだ。昨夜からちょっと緊張気味でほとんど眠れていない上に、食欲もあまりない... 

午前5時10分。さぁ出発だ! 

まずは夜叉神峠に向かって登っていく。新緑の季節になり木々の緑がとても心地よい。天気予報通り今日はいい天気だ。登り始めとしては体にちょうどよい傾斜の坂道をグングン登っていくと夜叉神峠に到着。1770mの標識の向こうに雪を被った南アルプスの山々が連なって見える。 

「おぉっ!カッコいい!」 

夜叉神峠から一旦下ったらいきなり急登があり、そこを通り過ぎるとなだらかな上り坂が続いて行く。しかし、この「なだらか」と感じた上り坂を復路で通った時、予想以上の傾斜にビックリした。

途中、ちょっとだけ平坦になるところはあったものの、基本、苺平まで、この「なだらか」な斜度の坂道をずっとず~っと登っていくという感じだった。 

時々、木々の隙間から顔を覗かす南アルプスの山々に疲れを癒される。どうか稜線に出るまでずっとそのままでいてくれよっ! 

苺平手前1kmあたりから登山道が雪で覆われ始める。前を歩いていたご夫婦がアイゼンを着け始めたので、どうしようかと迷ったのだがアイスバーンにはなっていなかったので、そのまま行ける所まで行くことにしたが、南御室小屋までアイゼンを装着することなくたどり着けた。ただ、登山道の積雪の頭を歩いていると大体大丈夫なのだが、ちょっと外れるとすぐ踏み抜いて大変だった。積雪の頭をきちんと歩くにはアイゼンを装着した方が楽だったかも知れない。 

苺平から1kmほど徐々に下って行って南御室小屋に到着。天気は最高なのだが次第に風が強くなってきた。恐らく稜線上では20m/s以上の風が吹いていたと思う。 

南御室小屋で6本爪アイゼンを装着、アウターを着込み、小屋の裏手から薬師岳に向かって登って行く。だれかの日記で読んだが確かにいきなりかなりの急登!ちょっと休憩した後だけにハァハァと息が切れる。 

この斜度の急登は、そう長くは続かないのだがその後も稜線に向かって結構な上り坂がずっと続く。さらに少し行くと山道が完全に雪で覆われ、とても滑るのでアイゼンを着けて正解だった。 

小1時間ほど、そのような道を進むと大きな石いくつか現れ森林限界に出る。稜線に登りきって景色を望むと 

「オッッッッッッッッ~!スゲェ!カッコイイ!」 

何も遮るものがない向こう側にまだまだたくさんの雪を湛えた白峰三山の勇壮が!もう素晴らしいのひと言。 

近くにいた単独登山者に「天気も良くて素晴らしいですね!」と話しかけた。 

話しかけた方は、ヤマレコユーザーの「otou」さんという方だった。このユーザー名、見たことあるような...ちょっと話し込んで「帰ったら検索してみます!」と言って別れたのだが、帰って検索してみると鎌倉の方で、丹沢の主脈や主稜を縦走されたりしてる方だったのでページを何度も拝見させてもらっていたのだと思う。 

岩々と白い砂に覆われた美しい稜線を「綺麗だなぁ」「カッコイイなぁ」「最高の気分だなぁ」と一人言をつぶやき、パチリパチリと写真を撮影しながら歩みを進めると、あっという間に砂払山、薬師小屋を通り過ぎ、薬師岳、観音岳まで到着した。 

三山で最も高い観音岳山頂に出ると稜線の向こうに荒々しい地蔵岳の岩の突起オベリスクが見えた。 

時間は9時46分。地蔵岳まで十分に行ける時間だ。しばし三山最高峰からの景色を堪能すると地蔵岳に向かった。 

観音岳から地蔵岳の間は、ここまでの稜線歩きの延長線上のように感じる眺めた感覚とは違って一気に下って行った。 

途中、まだ解けていない雪が広がる斜面が登山道に覆いかぶさっていてルートがなくなっている箇所があった。恐らくそっちに続くんだろうなという方向の先はよく見えず、鋭く切れ落ちているようにも見える。 

行くべきか眼前にオベリスクを眺めながらも諦めるべきか...と悩んでいると雪面の向こうから登山者が歩いてきた。ルートが見えなくってどうしようかと思っていたと言うと「僕が歩いてきたトレースを辿ればほぼ間違いないですよ」とアドバイスをくれたので、斜面を滑り落ちないようにアイゼンを装着して彼のトレースを60~70mくらい辿っていくと鳳凰小屋分岐に到着した。 

観音岳から見た感じでは、鳳凰小屋分岐から赤抜沢の頭という峰の脇をトラバースして水平に地蔵岳に行けるように思えるのだが、実際は、この赤抜沢の頭を一旦登ってまた降りて、賽の河原という地蔵岳の鞍部にたどり着くという感じだ。 

だんだんと登りが堪えてきたが何とか踏ん張って、賽の河原から地蔵岳の岩を登ってオベリスク直下まで着いた。「チャンスがあればオベリスクの岩の上まで登ってみようかな」なんて思っていたが、その岩を眼前にすると、とても無理だなと思った。 

10時54分、夜叉神の森から5時間44分...やっと念願の鳳凰三山の頂を踏むことができた。 

岩を少し下って風の当たらない場所で昼御飯のカップヌードルを食べて紙パックのワインを飲んで休憩、今まで歩いてきた道を振り返った。そこには鳳凰三山の最高峰 観音岳が聳え立っており、その向こうにはいつの間にか富士山が見えている、本当に文句のつけようがない絶景だ...が... 

ひと休憩したら、この山を再び登り返さないといけないという現実にちょっと愕然とした気分になった。車じゃなければこのまま別ルートで御座石温泉まで下って行くだけなのに... 

そうは言っても仕方ない。日没までには戻らないといけないしあまりのんびりしている訳にはならない。40分ほど休憩して岐路についた。案の定、休憩後の気合の抜けた疲れ切った気持ちと身体での観音岳の登り返しはコースタイム程の時間が掛かった。 

ちょっと雲も出てきて陽も陰り、登山者ももう帰路についているようで、僕の気持ちの反映なんだと思うが何となく寂しい感じの雰囲気がした。 

稜線を見納めて森林帯に入っていくと、さらにそんな気持ちが強くなっったので韓流の歌(笑)なんかを口ずさんだりしながら帰った。途中、5月も中旬というのにパラパラと雪なんぞも降ったりもした。 

16時19分。今朝5時過ぎに歩き始めて11時間ちょっと。何とか夜叉神の森駐車場に戻ってきた。

間違いなく僕の山経験の中で、丹沢蛭ヶ岳ピストンを超え最も過酷な山行になった。 

最近、怖いほどMっ気づいてきている(笑)。きつければきついほど満足感が高く、またそれを超えたことをしたくなってしまう。 

大丈夫か俺?!普通の生活では正常でいるように心がけよう(笑) 

 

コースタイム 

往路: 

夜叉神の森駐車場(5:10)→夜叉神峠(5:51)→杖立峠(6:40)→苺平(7:37)→南御室小屋(8:01)→薬師小屋(9:16)→薬師岳(9:25)→観音岳(9:47)→鳳凰小屋分岐点(10:01)→赤抜沢の頭(10:44)→賽の河原(10:47)→地蔵岳オベリスク(10:54) 

復路: 

地蔵岳オベリスク(10:32)→賽の河原(10:37)→鳳凰小屋分岐点(12:26)→観音岳(12:46)→薬師岳(13:02)→苺平(14:17)→杖立峠(15:11)→夜叉神峠(15:49)→夜叉神の森駐車場(16:19)

 

 

ルートマップ

ルートデータ

入山日
2011/5/14
下山日
2011/5/14
水平距離
23.0km
最高点
2841m

トレッキングレポート

データ

  • 入山日: 2011年5月14日(土)
  • 下山日: 2011年5月14日(土)
  • 登山エリア: 南アルプス
  • 登山ジャンル: 縦走登山
  • 登山スタイル: 日帰り
  • メンバー: ソロ
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