梅雨の合間を狙って花盛りの北岳へ行ったがキタダケソウには遅すぎた

梅雨の合間を狙って花盛りの北岳へ行ったがキタダケソウには遅すぎた

5年ぶりの北岳だ。思えばテントを買って初めてテント泊したのがここ北岳の北岳山荘だった。あれから4年。ずいぶん色んなところでテント泊してきたようにも思えるが、まだたったの4年しか経っていないのか...

過去10日間、東京では日照時間がたった20分しかなかったらしい。それが、この週末から5日間ほど晴れが続くらしい。ずっと天気が悪いと「晴れる」と聞いてもイマイチ山に行こうという気持ちがわかないのだが、この「晴れ」に何もせず過ごしたら、きっと後悔するだろうなと思いどこか登りに行くことにした。

昨年までなら「思い立ったら八ヶ岳」だったが、八ヶ岳もずいぶんと行きつくしたし、いろいろ調べると南アルプスの方が安く早く行けることに気づいたので、その中でもアクセスがいい登山口 広河原から登れる北岳に行くことにした。

ルートマップ

ルートデータ

エリア

南アルプス

入山日

2015/7/11

入山口

広河原

下山口

広河原

トレッキングレポート

Day1 : 7月11日 (土) 広河原~北岳肩の小屋

始発電車に乗り甲府駅まで行き、そこから広河原行のバスに乗り換える。

みんなこの晴れを心待ちにしてたんだね。バスが出発する頃には長蛇の列ができ、結局、3台バスが登山口へ向かって出発。

2時間ほどバスに揺られ広河原登山口に到着。11時過ぎに登り始める。今日は雲ひとつない快晴だ。今回は大樺沢コースから二俣、右俣コースを通って山頂を目指す。

多少、道が分かり難いところがあるという情報があったが、確かに登山道が小さな沢のようになっているところがあり、沢伝いに登山道とは違う方向に行ってしまいそうなところはあるが、気を付けて歩けばまず問題ない。

ぽつぽつと見たことのない花を撮影しながらゆっくりと登る。今日は北岳の山頂直下、標高3000mの山小屋 肩ノ小屋まで1500mの登り。なかなかタフだ。

コースタイム程で、ちょうど中間点くらいの二俣に到着。ここから上の大樺沢にはまだまだたくさんの雪渓が残っている。溢れんばかりに流れる沢の水で顔を洗う。キーンと冷たく気持ちがいい。

二俣から右俣コースを進む。山頂への道としては少し遠回りになるためか全く人に出会わない。代わりにすごい数のハエに集られる。かいてる汗の水分のためか、その臭いのためか、おそらく30~40匹というハエが体中、特に顔のまわりにまとわりついてくる。払っても払っても次から次に...

2時間ほど進んで樹林帯を抜けるとやっとハエの猛攻から解放される。景色が一気に開け、広がる斜面にはシナノキンバイの花畑が広がっていた。そして、そこから先は盛夏を思わせるほど百花繚乱に高山植物が咲き乱れていた。

午後5時過ぎ北岳 肩ノ小屋に到着。ちょっと遅い時間だったのでテントを張るスペースがあるかどうか心配だったが、小屋まではすこし距離はあるが、二段下の静かなサイトにテントを張ることができた。小屋の脇のテーブルで仙丈ケ岳に沈みゆく太陽と、夕日に照らされた富士山を眺めながら夕食を取りウィスキーを飲む。沸き立つ雲が夕日に照らされ刻々と変わりゆく景色が、まだ染まり切ってない青い空とコントラストを成して美しい。この上ない贅沢なひととき。

気分よく担ぎ上げた600ccのウィスキーを飲み干した。

大樺沢より北岳

大樺沢

ミヤマハナシノブ

ヒロハコンロンソウ

クルマユリ

タカネグンナイフウロ

大樺沢二俣

右俣コースを登って行く

ミヤマキンポウゲ

ハクサンチドリかな?

タカネヤハズハハコ

シナノキンバイ

シナノキンバイの群生

ハクサンイチゲ

うっすらと富士山

小太郎尾根から甲斐駒ヶ岳

北岳山頂が見えてきた

イワツメクサ

タカネツメクサ

オヤマノエンドウ

北岳肩の小屋に到着

北岳肩の小屋のテント場

仙丈ケ岳と夕日

夕日に染まる雲。甲斐駒ヶ岳方面

入道雲のもくもく感がいい。山は甲斐駒ヶ岳

Day2 : 7月12日 (日) 北岳肩の小屋~北岳~広河原

朝3時半起床。テントから出るとすでに東の空は明らんでいる。日の出時間をチェックしていないが5時前くらいだろうか?山頂まで50分程度。カメラのみを持って4時過ぎに登り始める。昨日、見ていないたくさんの高山植物が咲いているが、まずはご来光を山頂で見るために先を急ぐ。朝日が昇るであろう山の端を見ていると、日の出は僕が予想しているよりだいぶ早いようにも思える。

山頂直前、稜線の西側をトラバースしている最中に残念ながら太陽は登り始めてしまったようだ。再びご来光が見えるところにたどり着いたときにはすでに半分ほど太陽が出てしまっていた。

今日もいい天気だ。北岳山頂からはアルプスのスターたちが惜しみなく姿を現してくれている。

山頂でひと通り景色を眺め、ゆっくりと過ごした後、山頂周辺に咲いているという北岳固有の植物 キタダケソウを探してみたが分からなかった。特徴を曖昧にしか覚えてなったので、手っ取り早く写真に収めて帰ってチェックしてみたが、一様にハクサンイチゲのようだった。キタダケソウは葉がパセリのようにくしゃくしゃしているようだ。時期的にもやはりだいぶ遅かったよう。

かわりに両俣コース分岐付近で、花の写真を撮影している方に「タカネマンテナ」という花を教えてもらった。小さく地味な見映えで、知らないと見向きもされないような外見だが、日本では北岳だけに自生する希少な植物で、キタダケソウより貴重で価値があるということらしい。

小屋に戻りテントを片付けて、ゆっくり朝食を取り午前8時に下山開始。こんな晴天の最中、もう下山しなければならないなんてとても名残惜しい...稜線から稜線に向かって晴れが続く限りずっとずっと縦走していきたい気分だ。

稜線に別れを告げ樹林帯に入ると一気に蒸し暑くなる。12時前に広河原登山口に下山。まだまだ今朝いた北岳山頂はくっきりと見えている。

帰りのバスに乗って甲府に降り立つ。あっ暑い!甲府は今年一番の35℃だった。

鳳凰三山薬師岳あたりから昇る朝日

雲に浮かぶ富士山

仙丈ケ岳

日本の標高1位と2位の共演

北岳山頂

南に続く南アルプスの稜線

甲斐駒ヶ岳とその向こうに八ケ岳

ハハコヨモギ

イワベンケイ

チョウノスケソウ
タカネマンテマ。知らなかったがキタダケソウより貴重な高山植物らしい
ミヤマオダマキ

北岳肩の小屋を後にする

北岳肩の小屋経由では唯一の岩場

タカネシオガマ。ハクサンチドリとは葉っぱが違う

シナノキンバイ

草すべりを下る

白根御池小屋

広河原山荘テント場

広河原山荘テント場