やっぱり親不知は遠かった!不帰ノ剣を通って後立山連峰テント泊縦走

やっぱり親不知は遠かった!不帰ノ剣を通って後立山連峰テント泊縦走

今年も夏の長期縦走してきました。本当は、お盆辺りにしようかなと思っていたのだが、今回、行く後立山連峰の山小屋のテント場は、どこもそれ程、許容数が多くなく、午後遅く到着するとテントを張れない可能性があるので、やはり混雑時期を外していくことにした。

実際、レポートを見るとテント場は凄いことになってたみたいだ。

お盆を過ぎると今度は、不安定な天候続き...もう8月中は無理かなと思っていたが、台風10号が通り過ぎるとしばらく晴れが続くそうだったので、もうここしかない!と行ってきた。

今回の目標は、扇沢から針ノ木岳を経由して北上、後立山連峰を越え、最後は親不知で海抜0メートルの日本海にタッチすることだったが、思わぬ台風12号の発生で天気悪化が予想されたのと、険しい岩稜帯での体力の消耗で気持ちが持たなくなり、予定を2日間端折って白馬岳から白馬大池にルートを変更、5日間の行程で終了した。

日本海(親不知)まで歩き通したかったというのが正直な気持ちだが、それでも後立山連峰の険しい岩稜帯を通り白馬岳まで縦走できて予定を貫徹出来なかったが何だかとても満足した。

それにしても後立山はとてハードな縦走だった。とにかく疲弊しきったという感じ。3日目、4日目はほぼ一日の半分は、両手両足を使って岩を登り下りしているという感じで思った以上に体力を消耗した。また、この険しい岩稜帯の連続が精神的な緊張感にもなったのだろう。とにかく同じ10時間のコースタイム以上に疲れた感じだった。そして、5日目、その岩稜帯を抜け白馬岳山頂から、日本海に続くその先のなだらかな稜線を見た時に、ここまでの岩稜帯の連続との落差に「この先はまた今度歩こう」という気になった。

この縦走に出る直前、ヤマレコで栂海新道を歩いた人のレポート読み、「みんな栂海新道の景色のいい写真ばかりアップしているが、栂海新道の大半は奥秩父と何ら変わらないただの樹林帯で面白くなく、歩くのは達成感を得るためだけみたいなところです」と書いてあり、親不知に行くなら、行ってみたかった白馬大池に行こうかなと思ったのもあった。

その白馬大池。個人的には日本で最も素晴らしいロケーションにあるテント場じゃないかと思う。次回はぜひ泊まりに行ってみたい。

さて、今回の縦走で、南北アルプスの主だった稜線は、ほぼ全て歩いたことになる。

振り返ってみて、自分なりにどこが好きだったかと考えてみると、今回のように岩稜帯バリバリの「アルペン」なルートより、水が豊富で山のやさしさを感じられる「トレッキング」なルートの縦走が好きだなと思う。

まぁ、歩いた時の天候などにも左右される点はあるが、日本オートルートと呼ばれる立山から黒部五郎を経由して上高地に向かうルートと、南アルプスを南北に一筆書きに歩く、この2つが僕のベストルートだと思う。

そして、やっぱり南アルプスが好きだなと思う。北アルプスの岩の岩稜帯もカッコいいが、植物の緑が濃く水が豊富な南アルプスは落ち着く。

また人の少なさもある。

北アルプスはやはり人気の山域だけあって全体的に小屋も登山客も洗練されている感じがする一方、南アルプスは小ぢんまりとアットホームで人間的な雰囲気だ。そりゃ登山客の数が違えばそれは仕方がない。北アルプスの小屋ではそうしたくてもできないだろう。

さて、今回の山行であまりに疲れ切ったので、当分は楽し~いだけの山登りがしたい。山登りしたことない人でも構いませんよ、誰か山に一緒に行きましょう!

ルートマップ

ルートデータ

エリア

北アルプス

入山日

2016/8/31

入山口

扇沢

下山口

栂池ロープウェイ

トレッキングレポート

Day1: 8月31日 (水) 扇沢~針ノ木小屋

12時に扇沢スタート。針ノ木小屋を目指します。

今年は、針ノ木雪渓に雪はほとんどない

つづら折りを登ってあのコルがゴール

去年はずっとあっち槍ヶ岳方面に向かって歩いて行った。

明日から向かう後立山連峰のルート

今日の針ノ木小屋のテント場は2張りだけ。ちょっと寂しい気分

Day2: 9月1日 (木) 針ノ木小屋~冷池山荘

2日目スタート
まずは針ノ木岳に向かって歩く
熟した美味しそうなベリー。種類がよくわからなかったので食べなかった
針ノ木岳からスバリ岳に向かう。アップダウンが多く、意外と険しい
振り返って針ノ木岳
空に浮かぶ雲がなんとなく秋の装い
新越山荘。静かで展望のいい立地。スタッフも丁寧でフレンドリーだった
思いの外種池山荘に着く。ただ最後の小屋までの登り返しがきつかった
小屋では焼きたてピザを売っていた。名物らしい
なだらかな爺ヶ岳
今日の宿泊地 冷池山荘に到着
冷池のテント場は、山荘からさらに10分ほど鹿島槍ヶ岳方面に登ったところにある。テント場にはトイレがないので大変だ

Day3: 9月2日 (金) 冷池山荘~五竜山荘

3日目スタート。雲海から昇る太陽
反対方向はモルゲンロートに染まる立山(左)と剣岳
峰々から流れ落ちる雲
鹿島槍ヶ岳は南峰(左)と南峰(右)からなる双耳峰
鹿島槍ヶ岳南峰から五竜岳、そしてその向こうに白馬岳が見える
鹿島槍ヶ岳北峰に向かう。結構、険しい
鹿島槍ヶ岳北峰より遠くに槍穂方面
鹿島槍ケ岳北峰より難所 八峰キレットに下る
この区間、地図上に危険マークは付いてないが、下りはかなり高度感がある。足を取られないように慎重に進む
八峰キレット核心部1。この先で梯子を上って左に行く
八峰キレット核心部2。右側が切り立ってはいるが道幅があるので、怖いということはない
八峰キレット核心部2を振り返る。写真で見ると何とスゴイところかと思うが、実際はそんなことはない
八峰キレット核心部3。中央の岩峰を巻く。道が狭く、谷側に傾斜しているので、ちょっと高度感があるが、足場に鉄杭が打ってあり、岩にはクサリがあるので、慎重に通れば問題ない
奥穂高岳から最後の梯子を下って穂高岳山荘に下りる感じで、キレット小屋に下りていく
地図を見るとキレット小屋を過ぎるとあまりアップダウンがなさそうに見えたのだが、険しいの岩稜の小さなアップダウンがずっと続く
G5、G4を抜けて五竜岳への登りは険しい岩稜を手足を使って一気に登って行く
五竜岳のピークは登り詰めてから100メートル程進んだ先にある
五竜山荘への下りもやはり険しい。疲れもピークに近い頃だったので慎重に進む
14時半過ぎに五竜山荘に到着。そんなに混んでいなくてよかった
霧に包まれて輝く夕陽

Day4: 9月3日 (土) 五竜山荘~白馬岳頂上宿舎

4日目スタート。昨夜、雨が降っていたが快晴の朝が迎られた。湿ったテントの分、ザックが重い
まずは唐松岳(左奥)を目指します
手前、牛首にもちょっとした険しい岩場がある
唐松岳頂上山荘。不帰ノ剣に行く前に念のためトイレに行こうと思ったが、外トイレはなく、内トイレは1回300円もしたのでスルーした
山荘から唐松岳へのなだらかな登り
今回のルートの最大の難所 不帰ノ剣に踏み入れます。無事に通過できることを祈るような気持ちだった
ただ、不帰ノ剣の破線ルートのほとんどの区間はごくごく普通の登山道
ルートは不帰3峰は登らずに巻く。正面に右に2峰、そして中央に低く1峰。ツバメが飛んでいる。
かわいいイワヒバリが緊張感をちょっと癒してくれる
不帰2峰北峰。さてここからの区間がいわゆる難所と言われる区間
高度感のある切り立った岩場を下る
険しいのは険しいがクサリがしっかりあるので、雨で岩がスリップするような状態でなければ、それほど難しくはない
下りてきた2峰北峰直下を振り返る
この標識を過ぎるともうすぐ2つめの核心部
梯子の下は斜めに切れ落ちているので、ものすごい高度感がある訳ではないが、梯子の位置とクサリの位置が離れているので、かなり歩きにくい
梯子を渡り、その先の岩を越えた先の岩場がおそらく一番高度感がある場所だと思う。人が多い時期は行き違いが厄介そう
不帰1峰を通り過ぎ、天狗ノ頭への、いわゆる「天狗の大下り」を登る。400メートル程登るのだが不帰を過ぎ緊張感からちょっと開放された後で、恐ろしいほどきつく感じる
天狗の大下りを登り詰めたと思ったが、天狗山荘はまだまだずっと先だった...
途中で霧に包まれ先が見えない中、小屋の発電機の音が霧の向こうから聞こえてきた時、やっとビールが飲めると思った
白馬鑓ヶ岳は白いガレに覆われた夏なのに雪をまとったような山だった
白馬鑓ヶ岳より杓子岳。高さが100メートル違うだけでずいぶん小さい山に見える
ガレたなだらかなルートを下って杓子岳に向かう
先が雲に覆われていて、もう登りはないだろうと思っていたが、最後に200メートル程の登り返しが待っていた。そんな中、ライチョウが現れ癒してくれた
今日の行程は10時間強。やっと白馬岳頂上宿舎のテント場に着いた。疲れた。

Day5: 9月4日 (日) 白馬岳頂上宿舎~栂池ロープウェイ駅

5日目スタート。テント場から丸山のモルゲンロート
昨夜は、ずいぶんと強い風が吹いた。ここのテント場は僻地で風が遮られそうに見えるが、向こう端は開いているので、風の通り道になっているのかも知れない
槍穂がずいぶん遠くに見えるようになった
白馬山頂より。初めて見たが白馬山荘はよくぞまぁこんなところにと思うほど、ホテルのような大きな山荘だった
小蓮華岳の峰を雲が通り抜ける

雪倉岳方面。本当は、今回、親不知まで抜けて海抜0メートルの日本海タッチをしたかったのだか、台風接近でこれから先、ちょっと天気が不安定になるのと、これ以上、気持ちがつづかなくなったので、白馬大池に下りることにした

ガレの中に一輪だけ咲いていたコマクサ。まさか見ることができるとは思わなかった
昨日までと違って、ずっとなだらかな山容の峰々が続く
船越の頭から、雲が流れると白馬大池が見えた
素晴らしいロケーションにある小屋だ
綿毛のチングルマと光る水面の白馬大池
池の周りはイワイチョウの黄葉の絨毯が広がっている
おそらく日本で一番美しいロケーションにあるテント場だと思う。朝、9時過ぎに着いたので、泊まることができなかったが、いつかここだけのために泊まりに来てみたい
山と水がある風景は心が落ち着く
天狗池と栂池山荘の間にある湧き水 銀嶺水。冷たくておいしかった
今回のゴール栂池山荘に到着。本来の目的より2日間端折ってしまったけど、十分に満足した山旅だった
最後はゴンドラで栂池高原まで下っていきます。
ゴンドラの駅のすぐ近くに栂の湯という温泉がある。入浴料700円だがモンベルカードを提示すると200円引きに。初めてモンベルカードが役立った(笑)湯はちょっと熱すぎっ!