厳冬期初めての稜線上へ本格的登山!渋ノ湯から真っ白な天狗岳に登る

厳冬期初めての稜線上へ本格的登山!渋ノ湯から真っ白な天狗岳に登る

前日の北横岳に続いての登山。普通なら一緒に登った友人宅でシコタマ酒を飲んで、寝坊と体調の悪さとで今日は軽い登山に変更というのが定石だったのだが、今回は夜の酒の量もそこそこにモティベーション高く、朝7時に上田市の友人宅を出発、8時半過ぎに渋の湯の登山口に着くことができた。 

駐車場の受付をするがネットで伝え聞いていた通り渋の湯の女将は相当に無愛想な対応だったのでちょっとウケた。農鳥山荘のオヤジといい山に関する職業の人はちょっと変わった方が多いようにも思う。 

渋の湯までの道はバスも走っているようだが、多くの雪が路上にあり雪道に不慣れな運転ではとても冬期は入ってこれないなと思った。 

乗っけからちょっとしたトラブルがあった。朝、急いで支度をして出てきた友人がヤカンを掛けたガスの火を切った記憶がないと。いつもは指を指して確認してるのだが、今日はそれをしなかったので切ったかどうか分からないということ。だが、2時間近くも掛けてきたので戻って確認する訳にもいかず、そのため山行中に何度も電話線が途切れてないか携帯から自宅へ電話をするハメになった。(結局、ガスはきちんと切られてました) 

渋の湯の旅館の先の登山口で登山届に記入、橋を渡って登山開始。初めからちょっとしんどい登りが始まる。身体全体に昨日の疲れは残ってないが、ふくらはぎの筋肉が直ぐにだるくなってくる。なるべくふくらはぎではなく腿筋に力が分散されるように心がけて歩くが尾根筋までの登りは結局は気合で押し切った感じだ。 

尾根筋まで上がると緩やかに登るふかふかの雪が降り積もった道を黒百合ヒュッテに向かって進む。ここは僕が数年前に、今日、一緒にに歩いている友人に誘われて初めて九州以外で本格的に山に登った思い出のルートだ。その道を今、本格的な雪山をするために歩いている。そこから始まった登山の第一歩が、今度は雪山を始めるステップになるのだろうか。 

樹林帯を抜け2時間弱で黒百合ヒュッテに到着。今日は昨日以上に素晴らしい青空が広がっている。熱い紅茶を飲みしばし休憩をし、ストックをピッケルに持ち替え中山峠から先へ進む。程なくすると双耳峰、天狗岳の東西の峰が眼前に姿を現す。中山峠から山頂までの標高差は250m程度で、昨日のピラタス山頂駅から北横岳への標高差とたいして変わらないのだが、森林限界上に稜線を構え聳え立つ天狗岳は格段に上級の山に感じた。 

実際、北横岳に比べて斜度はキツく、所々硬く凍っている雪もあり、昨日は感じなかった緊張感を若干感じた。 

しかしながら快晴の天気の下、山頂も山頂までのトレースも常時明確に見えていたので、確かに気温は低くまた雪深い厳冬期とはいえ、そう大きな苦労をすることもなく2645mの東天狗岳の山頂に辿り着くことができた。

昨日以上の快晴。山頂から見渡す景色は説明するまでもなく筆舌に尽くし難いものだった。特に昨日よりさらに一層、近づき、大きく見える赤岳の雄姿を目の当たりにして、今年の厳冬期はもう無理としても3月または4月の積雪期にどうしてもチャレンジしてみたいという気になった。残雪期は気温の上下も激しく雪崩など危険性も伴う。より一層の知識を備えて準備していこうと思う。 

余裕があればと思っていたが、予想より早く東天狗岳の山頂に着いたので西天狗岳に向かった。東天狗岳と西天狗岳のコルは風が全くなく太陽の陽射しを浴びてとても暖かかったので、西天狗岳から降りてきたらここで昼を取る事にした。

東天狗岳からみると、なだらかな斜面を有しているように見えた西天狗岳だが実際、近づいてみると相当な斜度の登りだった。雪が歩きやすいくらいに固まっている訳ではないので一歩一歩滑り一層に消耗する。途中、涼しげな顔をして勢い良く登ってきた20代半ばの青年に軽く追い越されてしまい、さすがにトレーニングを怠っていたら若さにはとても勝てないなとひしひしと感じた。

西天狗岳からは諏訪湖が見えた。諏訪湖には今年、御神渡りができたとニュースでやっていたが見る限り青く今は凍っているようには見えなかった。 

コルに降り昼食を済ませて帰路につく。地図にある夏道コースではもう一度、東天狗岳の山頂に登り返して黒百合ヒュッテに戻っていくのだが、コルの直ぐ先にトラバース道があり東天狗岳の中腹の一般道へとつながっている。 

踏み跡は濃くなく恐らく10人は通ってないような感じだったが、先に下山していった二人の登山者はこの道を進んでいったので同じくこのトラバース道を辿ることにした。 

斜度のあるこのトラバース道にはそれなりにスリルを感じた。恐らく通常の感覚ではさして怖いとは感じないだろう。斜面も凍りついている訳でもなく何十メートル、何百メートルも滑落していくことはとても有りえないと思ったが、この雪の柔らかさが雪崩になるのではないかという気持ちはトラバース道を歩いている間捨て切れなかった。 

実際に雪崩は、どういう気象条件や天候の下でどうい場所で起きているのか詳しい知識がないことの未熟さを痛切に感じた。 中山峠近くまで戻り、今日歩いてきた天狗岳を振り返って眺めた。午後になっても未だに雲ひとつない青空が広がっている。本当に晴天に恵まれた雪山体験の二日間だった。

雪山がいつもこんな素晴らしい顔を見せてくれることはないだろう。逆に今回の山行は希に見るラッキーな初の雪山体験だったのかも知れない。だけど雪山の何たるかが少しは経験できたようにも思う。

まだまだもっと上級の山に登りたい登ってみたい。今回の雪山体験を基礎に体力、知識、経験を一層向上させ、より自信をもって険しい山に挑むことができるようになりたい思った。

コースタイム

渋の湯(8:42)→パノラマコース分岐(9:38)→唐沢鉱泉分岐(9:56)→(10:34)黒百合ヒュッテ(10:45)→(11:45)西天狗岳(10:55)→(12:15)東天狗岳(12:22)→(12:28)天狗岳のコル(12:45)→(13:35)黒百合ヒュッテ(13:55)→(15:03)渋の湯 

 

ルートマップ

ルートデータ

エリア

八ヶ岳

入山日

2012/2/20

入山口

渋ノ湯

下山口

渋ノ湯

トレッキングレポート

今日も雲ひとつない快晴
ふわふわの雪道が続く
森林限界が近づいてきた
黒百合ヒュッテ到着
天狗岳の偽ピーク。あの裏に本当のピーク
左が東天狗岳、右が西天狗岳の双耳峰
平坦に広がる岩石帯の向こうに見える北アルプス
中央、奥に見える岩場が「にゅう」
北アルプスと頭だけ見える蓼科山
この斜面を登って行きます。
さぁアタック開始!
昨日歩いた北八ヶ岳の峰々と蓼科山
美しい雪の風紋
西天狗岳
ピークはあそこだ。あと少し
硫黄岳、赤岳、阿弥陀岳。カッコイイ。近いうちに積雪期の赤岳に登りたい。
次は西天狗岳を目指します。
2645メートル。厳冬期の天狗岳に登頂できました!
硫黄岳、赤岳、阿弥陀岳。カッコイイ。近いうちに積雪期の赤岳に登りたい。
西天狗岳とのコルから東天狗岳を振り返る
かなりの斜度でキツイ
西天狗岳山頂から南八ヶ岳の山々
右奥は根子岳、四阿山だろうか
眼下に諏訪湖、その向こうに北アルプスの峰々
下山開始
左に続くトラバースを歩きました。結構、怖かった…
振り返ってトラバース道を撮る
ここを登ったら一般道に合流した。
アタック終了後、山を振り返る。
黒百合ひヒュッテに戻ってきた。ここで雪上テン泊してみたい。
こんなところにモンスターが!!!
渋の湯登山口に無事戻って着ました。