コロナ禍以来ほとんど3年ぶりの南アルプス 両俣小屋への4日間の山旅&フライフィッシング。久しぶりにテント泊装備の20キロのザック背負っての山歩きはもうヘロヘロだった。山に行ってなかったコロナ禍期間のブランクは大きい。
それでも、たくさんのイワナたちに出会えて、さらに尺上もキャッチできて大満足な旅だった。やっぱ両俣小屋は最高な山小屋だ。来れるものなら今夏もう一度来たい。両俣小屋の皆さんホントにお世話になりました!
ルートマップ
ルートデータ
南アルプス
2022/8/8
北沢峠
北沢峠
トレッキングレポート
Day1: 8月8日(月)仙流荘~北沢峠~両俣小屋

テント泊もほぼ3年ぶりなのでパッキングの手順がうまくいかない。取り合えず食料は「みなさまのお墨付き」ブランドのレトルト類を中心に買い集めてきた。

行くのかやっぱり行かないのか?ずっと山に行ってなかったので「行きたい」という気持ちとどこか「面倒くさい」という気持ちが交錯してなかなか心が決まらなかった。さらに所詮一人なので「やっぱ行くのやめた」となればそのまま行かなければいいわけで。ただもうここ八王子駅まで来てしまえばあとは行くしかない!

八ヶ岳登山の玄関口JR茅野駅。コロナ禍以降、実家がある大分県に帰省する以外で他県に来たのはおそらくこれが初めてではないだろうか?八ヶ岳は本当によく来ていたところなので何かとても懐かしかった。

仙流荘行のバスを待つ。コロナ禍が始まる前の2019年秋に日本列島を襲った猛烈な台風で山梨県側から北沢峠へのバスルートが崩壊、通行不能になってしまい、両俣小屋に行くためには長野県側の伊那市の仙流荘を経由してでしか行くことができなくなってしまった。そして、仙流荘にアクセスする直通バスがここ茅野駅から走っている。公共交通機関を利用して東京方面から北沢峠に行く場合、これが唯一のアクセス方法になる。

初めてくる長野県側の南アルプスの長野県側の玄関口である仙流荘。コロナ禍はまだ続いているが仙流荘から北沢峠行きのバスには多くの登山者が列をなしていた。もう20年くらい前になるだろうか?この前を流れている川で釣りをしたことがある。

北沢峠から、かつてバスが走っていた野呂川出合バス停までのバス便は今はもうないので歩いて行く。両俣小屋まで+1時間の行程で3時間30分くらいかかる。仙丈ケ岳の登り口の水場で水を補充する。

野呂川出合までアスファルトの道を下っていく。同じカーブの景色が何度も繰り返されている気がした。

2019年秋まではこの道の先が北岳の登山口広河原に続き、そして山梨県南アルプスの玄関口、芦安まで続いていた。橋やトンネルが相当激しく崩壊しているらしい。いつか復旧することはあるのだろうか?

野呂川出合から両俣小屋までの林道を歩き始める。この林道も2019年秋までは治山の工事車両が走ることができて時々壊れた道を整備していて、両俣小屋の車もここを走って荷物の運搬等を行っていたが、今回歩いてみて、経済性も含めて、もう元の状態に回復できる状態ではないかも知れないと思った。


林道が崩壊して、林道奥にロックされてしまった両俣小屋の運搬車。時々エンジンを掛けて動かしてはいるようだ。

両俣小屋まであと15分の標識から河原に降りる。右岸の山肌が崩落して河原が大きく広がり全く違った景色になっていた。

それでも川をのぞき込むとイワナの影が見えた。どんな物凄い洪水だったのだろうが生物の生命力も本当にすごいものだと思う。

この山肌の崩落のしよう...この先、ちょっとした大雨で再び崩れてもおかしくない。

小屋の手前にあった広々としたテント場は土砂に覆い尽くされていた。

16時25分、両俣小屋に到着。3年前と変わらぬ風景。小屋周辺だけは奇跡的に無傷だったよう。

小屋より上流側のテントスペースにテントを張る。この上流側、災害前は確か小木に覆われた草むらだったような。

暗くなるまで少し時間があったので小屋の前でちょっとだけ竿を出してみるといきなり飛び出してきた。

夜、小屋前のテーブルで飲んでいるとランタンの灯りに寄ってきたカワゲラ。明日は大きめのエルクヘアカディスで釣ってみようか。
Day2: 8月9日(火)両俣小屋 (泊)

2日目。8時半過ぎから13時半まで右俣を釣り上がる。台風前とは全く違う渓相になっていて「あそこで釣ったな」とか「あの落ち込みが...」というのがなくなってしまった。今日、釣り上がった最終地点の滝。距離的にも多分「三連の滝」と呼んでいた滝だと思う。

イワツメクサがよく咲いている。

それでもイワナだけはよく釣れた。さらにサイズも素晴らしい。この尺オーバーのイワナの太さ!かつて留学していたことのあるニュージーランドでは魚の大きさを「長さ」ではなく「重さ」で表現していたが、そういう表現の仕方もありのような気もする。

こちらもいいサイズ。ちょっとニッコウイワナっぽい。

雨が降りそうな空模様になってきたので早めに納竿して引き返したが、小屋に着いた頃には本降りになってた。ビールを買ってしばし小屋で雨宿りする。

雨が止んだので早めの晩ご飯を食べる。チキンラーメンにレトルトの中華丼をあんかけにして食べるのが、テント泊の時に作る僕の定番メニュー。

夕方以降は、小雨が降ったり止んだりだったので、今日は早めにテントに入って一人でちびちびとウィスキーを飲んで寝た。
Day3: 8月10日(水)両俣小屋 (泊)

7時40分、今日は左俣沢に入る。

両俣小屋の神様に安全と釣果をお祈り。

ビートルフライに飛び出したヤマトイワナ

今日は左俣沢を釣りながら行けるところまで行ってみようと思う。

できるだけ小さいポイントはスルーしていくのだが、次から次に釣れるので中々ペースが上がらない。

14時30分、7時間かけてこの大きな落ち込みまで釣り上がってきた。これまで来たことがある左俣沢で最も奥の地点。帰りに1時間半かかると想定して、ここで引き返すことにする。
小屋に戻って常連さんたちと話すと、相当上流まにで上ってきたと感じたのだけど、僕が折り返したこの地点はまだまだ2/3ほどのところだったらしい。その先まだまだ1/3もあるのか。そして、その先から渓相が緩やかに釣りやすくなり大物がよく出るようになるらしい。
今日は両俣小屋に泊まる最終日。明日はもう帰るだけの日だ。よくありそうな話だけど、そんな話を聞くと来年も必ず来ないといけなくなる。

あまり川沿いに咲くイメージはないのだが河原にタカネビランジが咲いていた。淡いピンクが可憐。ハクサンフウロと並んで僕の好きな花。

周囲を見渡すと、この崖一帯の斜面にタカネビランジが群生している。そこから株が落ちてきてこの河原で自生したのだろう。

この上で寝たいくらいのもこもこの苔

小屋に戻ると昨日以上に激しい夕立。危うく降られるところだった。小屋の軒先で雨宿り。

小屋前のテーブルで一杯やりながらルアーマンと交流。これらのルアーものによっては一個4,000円もするらしい。根掛かりとか木に引っかけたりとかして、もし回収できなかったら相当にへこみそう。
Day4: 8月11日(木)両俣小屋~北沢峠~仙流荘

5時45分、4日目の朝。

雲はあるが晴れ。今日はもう釣りをせずに帰るだけの日。

パッキング終了。3年前まではザックの後ろの折れた木々が覆い被さっている辺りのさらに向こうまでテント場が広がっていた。

この学校用テントのおかげで、テント泊客でも雨が降っても安心して外でご飯が食べ飲むことができる。

8時50分、星さんに挨拶して出発

おそらく川沿いのほとんどの木が大水で流されてしまった中、この大木だけが唯一河原に力強く立ち続けている。

林道歩き。


野呂川出合。以前はここにバス停があって、あとはバスに乗って山梨県側に帰るだけだったが、今回は、これから、この炎天下の中、アスファルトの上を標高差250mを登り返さないといけない。もう一時間かかる。

車道上は木陰がほとんどないので直射日光が堪える。

甲斐駒ヶ岳がちょっとだけ見える。

北沢峠からバスに乗って仙流荘まで戻ってくる。風呂に入って、仙流荘の食堂でとんかつを食べる。下界の食べ物、とくに揚げ物は最高に美味い!

仙流荘で茅野駅行のバスを待つ。以前のように北沢峠から広河原を経由して甲府駅まで帰ることができたらどれくらい楽だろう。それでも久しぶりの山旅、楽しかった。コロナ禍で行動が内向きになっていたので思いきって来て本当によかった。まだコロナ禍がこれからどうなっていくのかは分からないが来年も来ることができるなら必ず来たいと思う。